【37日目】

葉隠『罪木っちとの今の関係は……一番深い仲、なのにも関わらず、そこに亀裂が生じ始めている状態たべ』

葉隠『罪木っちにとって狛枝っちは一番心を許せる相手で、全てを委ねていいとすら考えていたみてーだ』

葉隠『それと同時に、狛枝っちにとっても自分はそういう存在でありたいと、 自分だけがそんな存在でいたいと思っていたんだべ』 葉隠『だから、狛枝っちの願いを必死に叶えようとして、自分だけを求めて欲しいと思って、傍から見れば行き過ぎた行動をとる事もあったんだべ』

葉隠『その末に、紆余曲折を経て狛枝っちの願いを叶える事がついに出来た……と思った。けど』

葉隠『結局のところそうなっても、狛枝っちの視線は別のところを向いている。しかもその先はひとつじゃなかった。その事に対する悲しみと不満がもう限界まできているんだべ』

葉隠『罪木っちはな、狛枝っちとの関係を築く前から爆弾を抱えてんだべ』

葉隠『その爆弾っつーのはそこにいる狛枝っちのクラスメイト全員少なからず持っているものなんだが、罪木っちのはその中でも特に処理が難しいものなんだべ』

葉隠『……けど、狛枝っちによって一度は解体処理された、ように見えた。でも実際はバラして組み立て直しただけの上に更に新しい爆弾を増やしただけだったんだべ……』

葉隠『その爆弾はどれか一つでも爆発すれば次々と誘爆する危険すぎるものだべ。そして全部が爆発したあとは……見え隠れしていた罪木っちの中にある絶望が完全に顔を出すだけ、だべ』

葉隠『これを上手く処理するのは今となってはとても難しいものだと思うべ……狛枝っちが行動を改めない限りはな』

葉隠『だから、実を言うといっその事跡形もなく全部吹き飛ばしちまった方が楽、という事もあるのかもしんねーぞ』

葉隠『罪木っちを覆っている殻も壁も取り除かれて、出てきたものそれこそが真の罪木っちだ。その罪木っちと正面から向き合って……その絶望に狛枝っちの希望が勝てれば……』 葉隠『ただそれは、総合的に見れば険しい茨の道だべ。時間が足りるのか、って感じだな』

葉隠『それから罪木っちの事は後回しにすればするほど今の狛枝っちがしようとしている目的が達成されにくくなるべ』

葉隠『ぶっちゃければ、狛枝っちの目標に対して今は驚くほどに悪い方悪い方へと事が運んでるみてーだな……この不運が後に幸運に繋がるのは俺にもわからんべ』

葉隠『それで……今、罪木っちに対して一番すべき事だけど……うーん……難しいな。なんかもう、具体的なアドバイスが不可能なところまで拗れに拗れてきちまった感が……』

葉隠『罪木っちの事に関してだけ言えば、一番楽で簡単なのは罪木っちだけを選ぶ事だけど、そうすると別の問題が起こるし何よりもう狛枝っちはそれを望んでないんだろ?』

葉隠『だったらもう、お互いに意地の張り合いをするっきゃねーんじゃないべか? つーか、精神的にでも物理的にでもいいからこれまで以上にお互いにもっと激しくぶつかり合い続けて全部曝け出して開き直れば案外上手くいくのかも……ほら、狛枝っちもだけどそれ以上に罪木っちってどうしてもネガティブに抱え込むとこがあんだろ? だからさ……』

葉隠『ま、まあ、いざとなったら物で懐柔するのもありだと思うべ! ラッキーアイテムは、女王の拘束衣、Mr.ホチキス、包帯、だからな!』